91年条約と78年条約 2つのUPOV

91年条約と78年条約 2つのUPOVの違い

UPOV条約(ユポフと読みます)は、「植物の新品種保護に関する国際条約」であり、植物の新品種を世界各国が共通の基本原則に従って保護し、優れた品種の開発や流通を促進することを目的として締結された条約です。

UPOV条約には

  • 内国民優遇
  • 優先権制度及び保護の独立
  • 新品種の保護条件
  • 保護内容
  • 最低の保護期間

などが定められています。

 

2014年現在で、UPOV条約の締約国は72カ国にまで増えていますが、各国の保護対象植物や育成者権の存続期間が異なります。

その原因は、「91年条約と78年条約」の2つのUPOVが存在することです。

 91年条約と78年条約の違いとは何か

UPOV条約は1961年に「植物新品種保護同盟(UPOV同盟)」の結成に伴い締結された条約です。

その後、品種保護制度の各国での整備と拡充のため、78年と91年に大改正が行われ、91年条約が現行のUPOV条約となっています。

ここで問題なのが、改正後の91年条約に批准せず、78年条約にとどまっている国の2種類が存在することです。

これが、「91年条約と78年条約」と呼び方を区別する理由となっています。

下記に両条約の違いをまとめておりますのでご覧ください。

91年条約と78年条約

-78年条約91年条約
保護対象植物24種以上(各国による違いあり)全植物
未譲渡要件出願国で譲渡した後に出願しても品種保護を受けられない(ただし、各国の裁量により最長1年間の猶予期間を設けることが可能)出願国で譲渡した後、1年以内に出願すれば品種保護を受けられる
育成者権の効力の及ぶ範囲(種苗)以下の行為は許諾が必用
・販売目的の生産
・販売の申出
・販売
以下の行為について許諾が必用
・生産
・調整
・販売の申出
・販売その他の商業譲渡
・輸出
・輸入
・上記行為のための保管
育成者権の効力の及ぶ範囲(収穫物)・種苗以外の用途のため販売された観賞用植物が種苗としてとして利用された場合、それによって作られた観賞用植物の販売につき権利行使可能種苗の段階で権利行使する合理的な機会のなかった場合、収穫物にも権利行使可能
育成者の効力の及ぶ範囲(直接の生産物)規定なし各国の裁量で権利行使する合理的機会のなかった場合、収穫物に対しても育成者権の効力が及ぶ
育成者権の効力の例外規定なし各国の裁量で、農家の自家増殖について、育成者権の効力の例外とすることが可能
育成者権の存続期間登録から15年(永年性植物は18年)登録から20年(永年性植物は25年)
特許他の保護制度を併用した2重保護の可否不可可能

2つの条約の特筆すべき違い

「91年条約と78年条約」には、植物新品種保護の在り方に大きな影響を及ぼす保護対象植物の違いがあります。

91年条約では、保護対象植物が「全植物」となっているのに比べ、78年条約では各国ごとに定められた「特定の植物」のみが保護対象となっています。

このため、海外出願する場合、出願国が、91年条約か78年条約か、どちらのUPOV条約締約国かを確認しておく必要が出てしまいます。

91年条約と78年条約 まとめ

海外出願を行う場合、78年条約締約国は保護対象植物が限られていますので、特に注意が必要です。しっかり把握してから出願手続きをしないと、時間と労力のムダ使いになってしまいます

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